Folk tales · Section 3

優しいお化けのパン屋さん

優しいお化けのパン屋さん。 あるところに暗く不気味な森がありました。

Level: N4 · 57 sentences

Transcript

  1. 優しいお化けのパン屋さん。
  2. あるところに暗く不気味な森がありました。
  3. この森にはお化けが出ると噂の家があり、
  4. 誰も近づこうとはしませんでした。
  5. カチャカチャ、トントン。おや?
  6. 家の中から何やら怪しい音が聞こえます。
  7. カチャカチャ、トントン。
  8. この後ろ姿はまさしくお化け。
  9. 噂は本当だったようです。
  10. カチャカチャ、トントン。
  11. お化けは一体何をしているのでしょうか?
  12. おいしくなれ、おいしくなれ。
  13. このお化けの名前はモッチー。
  14. パンを一生懸命作っています。
  15. 森の中にある家はモッチーが開いているパン屋さんだったのです。
  16. このパン生地、まるで僕みたいだ。
  17. モッチーは心の優しいお化けです。
  18. みんなにおいしいパンを食べて欲しい、そう思いながら、
  19. 毎日毎日パンを作り続けていました。
  20. でも、みんながお化けを怖がってしまうため、
  21. まだ誰もお店に来たことがありません。
  22. 僕のパンは誰にも食べてもらえないのかな。寂しいな。
  23. そんなある日のことです。
  24. お化けの住む森に、小さな兄弟が迷い込んでしまいました。
  25. お腹を空かせた二人はパンの焼ける匂いに誘われ、
  26. モッチーのお店の上にたどり着きました。
  27. お兄ちゃん、このお店なんだか怖いよ。
  28. 大丈夫、行ってみよう。
  29. すみません。誰かいますか?
  30. 二人は恐る恐るお店の扉を開けました。
  31. わー、お客さんだ。いらっしゃい。
  32. わー、お化けだ。逃げろ。
  33. あ、ちょっと待って。
  34. 僕の名前はモッチー。パン屋さんなんだ。
  35. 僕はみんなにパンを食べてえもらいたいだけなのに、
  36. 僕を怖がって誰もお店に来てくれないんだ。
  37. そうだったんだ。
  38. 歩き回ってお腹が減ったでしょう?
  39. よかったら僕のパンを食べてみてよ。
  40. え?でも。
  41. 二人は少し不安な気持ちになりましたが、
  42. モッチーの作ったパンを食べてみました。
  43. いただきます。パク。
  44. おいしい。モッチー。このパン、とっても美味しいよ。
  45. ほんとかい?ありがとう。とっても嬉しいよ。
  46. 美味しいパンをありがとう、モッチー。
  47. 初めは怖かったけど、モッチーに出会えて良かったよ。
  48. 見た目だけで怖いなんて判断しちゃダメだね。
  49. 二人に喜んでもらえて僕もとっても幸せだよ。
  50. また食べに来てね。うん。
  51. 数日後、
  52. モッチーのパン屋さんにはたくさんの人が訪れていました。
  53. 君たちが村のみんなに僕のパンを紹介してくれたのかい?
  54. うん。優しいお化けが開いている美味しいパン屋さんがあるって。
  55. どうもありがとう。
  56. これからもみんなのために美味しいパンを作るよ。
  57. おしまい。