JLPT · JLPT 3
愛情と束縛のパラドックス
愛情という感情について 少し掘り下げて、考えてみたいと思います。
Level: N1 · 33 sentences
Transcript
- 愛情という感情について
- 少し掘り下げて、考えてみたいと思います。
- 愛情には、相手を尊重する気持ちがありますね。
- 相手に不快な思いをさせたくないという配慮です。
- しかし、それと同時に
- 相手を束縛せずにはいられない側面をも持ち合わせている。
- これは愛情の相克とも言えるかもしれません。
- 「あなたを愛しているがゆえに、こうあってほしい」
- 「大切なあなただからこそ、これはやめてほしい」
- こうした願望が生まれるのは至極当然のことでしょう。
- むしろ、そうでなければ愛情とは呼べまい。
- つまり、相手への関心が深まれば深まるほど、
- 無意識のうちに、相手をコントロールしたいという欲求が湧き上がる。
- これは人間の心に潜むある種の宿命なのかもしれません。
- さて、他人にコントロールされるというと
- 押し付けがましい窮屈だといった
- マイナスイメージが先行しがちです。
- ですが、必ずしも不快なものとは限らない。
- 例えば、私が本気で陶芸家たらんと志し、
- 尊敬してやまない作家に師事したとします。
- 私は師匠からの指導はもとより
- あれこれ命じられることや、
- 時には無理難題を突きつけられること
- 罵声を浴びせられることにすら、
- 充実感や喜びを覚えるのではないでしょうか。
- 尊敬する師匠に導かれること、
- そのコントロール下に身を置くことが、
- ひたすらに喜ばしく感じられるはずです。
- このような関係性は
- おそらく、アスリートとコーチの間にも見られます。
- あるいは、映画監督と俳優との間においても、
- 同様の図式が成立しうるでしょう
- 信頼関係あってこその心地よい支配と言えるのかもしれませんね。