JLPT · JLPT 4

催涙雨

10月16日、バンコクの夜。 空気は一触即発の緊張をはらんでいた。

Level: N1 · 31 sentences

Transcript

  1. 10月16日、バンコクの夜。
  2. 空気は一触即発の緊張をはらんでいた。
  3. 盾を構えた機動隊が威圧的にずらりと並んでいた
  4. その前で一人の女性が、
  5. 静かに手を合わせていた。
  6. 「私たちは平和的に集まっています」
  7. 彼女の声はかすかに震えていた。
  8. 背後には無数の若者たち。
  9. 現政権への抗議の声を上げるべく、
  10. 彼らはここに集結したのだ。
  11. 警察は解散を命じたが、
  12. 人々は耳を貸そうともしない。
  13. 「プラユットは出ていけ!」
  14. 「封建主義は滅びよ!」
  15. 怒号が夜空に響き渡る。
  16. 業を煮やした警察はついに強硬手段に打って出た。
  17. 女性の懇願もむなしく、
  18. 放水車が唸りを上げた。
  19. 最初はただの水だったが、
  20. 次の瞬間、空気が一変した。
  21. 催涙成分が混じっていたのだ。
  22. 目や喉に焼けるような痛みが走る。
  23. 現場は阿鼻叫喚の地獄と化した。
  24. 逃げ惑う人々を前に、
  25. 私は香港の光景を思い出していた。
  26. 運動は激化の一途をたどっていた。
  27. 政府は弾圧に本腰を入れ始めたのだ。
  28. 15日の早朝には、
  29. 主要な指導者らが次々と逮捕された。
  30. 運動の首脳部を失った反体制派。
  31. 彼らの闘いはここからが正念場だろう。