Business Japanese · Section 2
「送信」ボタンの重み
パソコンの画面を前に僕はため息をついた。 来週、新しい部長と出張に行くことになっている。
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Transcript
- パソコンの画面を前に僕はため息をついた。
- 来週、新しい部長と出張に行くことになっている。
- その部長というのがなかなかの曲者らしい。
- 今回の出張において、僕の評価が決まるかもしれない。
- 重要な取引先であらA社を訪問する予定だ。
- この機会に生産ラインを拝見したい。
- そう部長から指示されたものの、簡単な依頼どころではない。
- 先日の契約に際し、当方はかなり無理な注文をしたからだ。
- それにもかかわらず、A社は見事に対応してくれた。
- その恩があるだけに頼みづらい。
- しかし、これも仕事である以上やらざるを得ない。
- 僕はキーボードに向き直った。
- 「拝啓、貴社ますますご盛業のことと…」
- 一文字ずつ、丁寧に言葉を選ぶ。
- 部長も同行するという点を強調し、
- 相手にとってのメリットも匂わせる。
- つきましては、ご都合のよい時間を…
- 文面を何度も確認する。
- 敬語の使い方は間違っていないだろうか。
- 失礼な印象を与えはしないだろうか。
- スケジュールの都合上、返信の期限も設定せざるを得ない。
- 「送信」ボタンの上で指が止まる。
- 深呼吸一つ、僕はクリックした。