Folk tales · Section 2
天狗の鸚鵡
むかしむかし、ある山奥に、 少し怠け者の木こりが住んでいました。
Level: N1 · 30 sentences
Transcript
- むかしむかし、ある山奥に、
- 少し怠け者の木こりが住んでいました。
- ある日、彼は仕事もそこそこに、
- 森の奥深くへと足を踏み入れました。
- すると、大きな岩の上に、
- 一人の天狗が座っているではありませんか。
- 天狗は小さな竹筒を手に持ち、
- それを熱心に覗き込んでは、
- 時折くすくすと笑っていました。
- 好奇心を抑えきれなくなった木こりは、
- 天狗に何を見ているのか尋ねました。
- 天狗はしたり顔でこう答えます。
- 「これは千里眼の筒といってな、」
- 「遠い都の様子が隅々まで見えるのだ。」
- その言葉を聞いたとたん、
- 木こりの心に欲が芽生えました。
- 彼はその宝物を手に入れたい一心で、
- 自分の薪と上着を交換してほしいと懇願しました。
- 天狗は一瞬惜しむような素振りを見せたものの、
- 結局は彼の申し出を受け入れました。
- 竹筒と引き換えに薪と上着を受け取ると、
- 天狗は大きな羽を広げ、空へと飛び去ってしまいました。
- 木こりは大喜びで竹筒を覗き込みましたが、
- 都の様子が見えるどころか、中は真っ暗です。
- その瞬間、筒の中から小さな鳥が飛び出し、
- 彼の鼻の頭にちょこんと止まりました。
- それは、一羽の鸚鵡にすぎませんでした。
- 天狗の策略に、まんまと騙されたのです。
- 彼は呆然とし自分の欲深さを反省せざるを得ませんでした。
- 天狗にとってはただで薪が手に入ったというわけです。