Folk tales · Section 2

天狗の鸚鵡

むかしむかし、ある山奥に、 少し怠け者の木こりが住んでいました。

Level: N1 · 30 sentences

Transcript

  1. むかしむかし、ある山奥に、
  2. 少し怠け者の木こりが住んでいました。
  3. ある日、彼は仕事もそこそこに、
  4. 森の奥深くへと足を踏み入れました。
  5. すると、大きな岩の上に、
  6. 一人の天狗が座っているではありませんか。
  7. 天狗は小さな竹筒を手に持ち、
  8. それを熱心に覗き込んでは、
  9. 時折くすくすと笑っていました。
  10. 好奇心を抑えきれなくなった木こりは、
  11. 天狗に何を見ているのか尋ねました。
  12. 天狗はしたり顔でこう答えます。
  13. 「これは千里眼の筒といってな、」
  14. 「遠い都の様子が隅々まで見えるのだ。」
  15. その言葉を聞いたとたん、
  16. 木こりの心に欲が芽生えました。
  17. 彼はその宝物を手に入れたい一心で、
  18. 自分の薪と上着を交換してほしいと懇願しました。
  19. 天狗は一瞬惜しむような素振りを見せたものの、
  20. 結局は彼の申し出を受け入れました。
  21. 竹筒と引き換えに薪と上着を受け取ると、
  22. 天狗は大きな羽を広げ、空へと飛び去ってしまいました。
  23. 木こりは大喜びで竹筒を覗き込みましたが、
  24. 都の様子が見えるどころか、中は真っ暗です。
  25. その瞬間、筒の中から小さな鳥が飛び出し、
  26. 彼の鼻の頭にちょこんと止まりました。
  27. それは、一羽の鸚鵡にすぎませんでした。
  28. 天狗の策略に、まんまと騙されたのです。
  29. 彼は呆然とし自分の欲深さを反省せざるを得ませんでした。
  30. 天狗にとってはただで薪が手に入ったというわけです。