Folk tales · Section 2
森の教え
夏休みのある晴れた日、 少年ケンジは裏山へ向かった。
Level: N2 · 33 sentences
Transcript
- 夏休みのある晴れた日、
- 少年ケンジは裏山へ向かった。
- 目的はカブトムシを捕まえることだった。
- 祖父の忠告があったものの、彼は一人で森の奥へ進んだ。
- 珍しい蝶を見つけ、夢中になって、追いかけているうちに、
- いつのまにか道を見失っていた。
- 最初はたいしたことないと思った。
- すぐ戻れるだろうと、高をくくっていたのだ。
- しかし、景色はまったく見覚えがなかった。
- 太陽の位置も分からなくなっていた。
- カブトムシどころか、自分のいる場所さえ定かではなかった。
- 不安が胸をよぎった。
- 大声で叫んでみたが、返ってくるのは自分の声だけだった。
- 周囲の木々が、まるで自分を監視しているかのようだった。
- 自然のきびしさに対して、
- 彼は自分の無力さを痛感した。
- 泣き出したい気持ちを抑えざるを得なかった。
- その時、祖父の言葉を思い出した。
- 「道に迷ったら、沢を探せ」と。
- 沢は必ず低い方へ流れるからだ。
- 彼は耳をすませた。
- すると、かすかに水の音が聞こえた。
- なるほど、これが希望というわけだ。
- 音のする方へ必死に歩き始めた。
- 足は疲労で、重かったものの、心には小さな光がともっていた。
- やがて、目の前に小川が現れた。
- 彼はその流れにそって、下がることにした。
- どれくらい、歩いただろうか。
- 見慣れた橋が見えてきた。
- それは村の入り口にある橋だった。
- 安堵のあまり、その場に座りこんでしまった。
- 遠くから、祖父が彼を呼ぶ声がした。
- この経験を通して、彼は自然を敬う心を学んだのだった。