Folk tales · Section 2

狐の嫁入り

晴れているのに、雨がぱらつく日。 昔から日本ではこういう天気を

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Transcript

  1. 晴れているのに、雨がぱらつく日。
  2. 昔から日本ではこういう天気を
  3. 「狐の嫁入り」と呼んできました。
  4. 狐は稲荷神の使いとされ、
  5. 古来より神聖視されてきた動物です。
  6. そんな狐の世界には、
  7. 厳格な掟が存在すると、言われます。
  8. それは、嫁入りの行列を
  9. 決して人間に見られてはならぬ、というもの。
  10. その儀式を隠さんため、
  11. 狐たちは太陽を欺き、雨を降らせるのです。
  12. 人々がわかに家に駆け込む
  13. その束の間に、婚礼は執り行われます。
  14. しかし、この現象をめぐっては、
  15. もう一つの悲しい物語も伝わっています。
  16. 昔、ある村が深刻な旱魃に見舞われました。
  17. 雨を乞わんがため、村人たちは
  18. 人身御供を立てることを決断しました。
  19. そして白羽の矢が立ったのは、
  20. 人に化ける一匹の美しい白狐でした。
  21. 村の青年との偽りの祝言。
  22. それは、狐を神に捧げるべく仕組まれた罠でした。
  23. しかし、二人はいつしか本当に惹かれ合います。
  24. 真実を知った狐は愛する人のため、
  25. 自らの命を差し出すことを受け入れました。
  26. 儀式の日、彼女が天に召されると、
  27. 空から大粒の雨が降り注ぎました。
  28. それは、狐の流した悲しみの涙だったのでしょう。
  29. 以来、日照り雨は、人知れず行われる狐の祝宴の印であり、
  30. 同時に、悲恋の記憶を留めるものでもあるのです。
  31. ある地域では吉兆の証ともされ、
  32. 五穀豊穣と子孫繁栄の象徴とされています。