Folk tales · Section 1

星から来た訪問者

僕は昔から星空を眺めるのが好きだった。 この田舎町においては、都会では見られないほどの星が輝く。

Level: N2 · 25 sentences

Transcript

  1. 僕は昔から星空を眺めるのが好きだった。
  2. この田舎町においては、都会では見られないほどの星が輝く。
  3. ある晩、いつものように望遠鏡を覗いていたところ、
  4. 奇妙な光が目に入ったのだ。
  5. それはどの星座にも属さない、
  6. 淡く点滅する光だった。
  7. 最初はただの人工衛星か何かだと思ったものの、
  8. その光は毎晩少しずつ大きくなっていった。
  9. 不安というよりは、むしろ好奇心が勝っていた。
  10. そして一週間後の夜、ついに事件が起きた。
  11. 強い光が裏の畑に落ちるのが見えた。
  12. 恐る恐る近づいてみると、
  13. そこには小さな宇宙船らしきものがあった。
  14. 扉が静かに開き、中から光の生命体が出てきた。
  15. 恐怖を感じるどころか、なぜか懐かしい気持ちになった。
  16. その訪問者は言葉を話すわけではなかった。
  17. しかし、頭の中に直接映像を送ってきたのだ。
  18. 遠い星が寿命を迎え、
  19. 故郷を離れざるを得なかったこと。
  20. 長い旅の末、この地球にたどり着いたわけだ。
  21. 僕らは数か間、静かな時間を共に過ごした。
  22. やがて別れの時が来た。
  23. 訪問者は僕に小さな水晶を手渡し、
  24. 静かに空へと帰っていった。
  25. 今でも僕は、あの水晶を握りしめて夜空を見上げている。