Folk tales · Section 1

雪女

むかしむかし、ある雪深い村に、茂吉という名の若者がおりました。 彼は腕のいい猟師でしたが、

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Transcript

  1. むかしむかし、ある雪深い村に、茂吉という名の若者がおりました。
  2. 彼は腕のいい猟師でしたが、
  3. ある冬の日、山でひどい吹雪に見舞われました。
  4. 師匠と共に、小さな小屋へ避難したものの、
  5. 吹雪は一向に収まる気配がありません。
  6. その夜、小屋の戸が静かに開きました。
  7. そこには、雪のように白い着物を着た、
  8. 息をのむほど美しい女が立っていました。
  9. 女は師匠に白い息を吹きかけると、
  10. 師匠はたちまち凍りついてしまいました。
  11. 次に女は茂吉の方へ向き直りました。
  12. 茂吉は死を覚悟せざるを得ませんでした。
  13. しかし女は、こう言いました。
  14. 「お前はまだ若いゆえ、命だけは助けてやろう。」
  15. 「ただし、今夜のことを誰にも話してははならぬ。」
  16. 「もし約束を破ったならば、その時は命はないものと思え。」
  17. そう言い残すと、女は姿を消しました。
  18. 翌年、茂吉はお雪という娘と出会います。
  19. 驚いたことに、彼女はあの雪女にそっくりでした。
  20. 二人は恋に落ち、やがて結婚しました。
  21. お雪は素晴らしい妻であり、優しい母親でもありました。
  22. 夫婦の間には子供も授かり、幸せな日々が十年ほど続きました。
  23. 不思議なことに、お雪は少しも年を取りません。
  24. ある雪の夜のことです。
  25. 茂吉は妻の美しい横顔を見て、ふとあの吹雪の夜を思い出しました。
  26. 彼は固い約束を忘れ、妻に語り始めました。
  27. 「実は昔、お前にそっくりな雪女に会ったんだ。」
  28. その途端、お雪の表情が一変しました。
  29. 「その雪女は、私です。」
  30. 「あの時の約束を、なぜ破ったのですか。」
  31. 彼女の体から冷たい気が立ち上ります。
  32. 「約束通り、あなたの命を奪うべきですが…」
  33. 「子供たちのことを思うと、それはできません。」
  34. 「子供たちを、どうか大切に育ててください。」
  35. 次の瞬間、彼女の体はすっと溶けていき、
  36. 白い霧となって消えてしまいました。