Folk tales · Section 1
森の精霊と古い木
昔々、ある深い森の奥に、 樹齢千年を超える楠の古木があった。
Level: N1 · 36 sentences
Transcript
- 昔々、ある深い森の奥に、
- 樹齢千年を超える楠の古木があった。
- その木は「森の主」とあがめられ、
- 神聖な存在と見なされていた。
- 木には小さな精霊たちが宿っており、
- 森の平和を静かに守っていた。
- 精霊たちの姿は、心が清い者にしか見えない。
- ところがある日、町の役人たちがやって来て、
- 森を開発する計画を発表した。
- 計画によれば、この古木も伐採される運命だった。
- それを知った精霊たちは、大いに悲しんだ。
- 彼らは何とかして木を守ろうと決意した。
- まず、作業員たちの道具を隠してみたものの、
- 人間たちはすぐに新しいものを持ってきた。
- 次に、夜中に不思議な音を立てて脅かしたが、
- それも効果は一時的なものに過ぎなかった。
- 人間たちの欲望は、精霊の警告を上回っていたのだ。
- 作業を中止するどころか、
- 彼らはさらに大きな機械を持ち込んだ。
- この神聖な木をめぐって、対立は深まる一方だった。
- 精霊たちは思い悩んだ末に、最後の手段を取らざるを得なかった。
- それは、森全体に巨大な幻を見せることだった。
- 翌朝、役人たちが森に入ろうとすると、
- そこには道がなくなっていた。
- 進んでも進んでも、同じ場所に戻ってきてしまう。
- そればかりか、木々がまるで生きているかのように動き、
- 彼らの行く手を阻んだ。
- 「これは森の呪いに違いない」
- 人間たちは恐怖のあまり、逃げ出してしまった。
- ついに、開発計画は白紙に戻された。
- 精霊たちの知恵が、古木を救ったのである。
- 森には再び静寂が訪れた。
- 精霊たちは、古木の枝で安堵のため息をついた。
- この出来事以来、
- 人々は森を恐れると同時に、敬意を払うようになったという。
- 自然を尊重することの大切さを、精霊たちは静かに教えてくれたのかもしれない。