Folk tales · Section 1

鶴の恩返し

むかしむかし、あるところに、心優しいおじいさんと、おばあさんが住んでいました。 二人は貧しいながらも、仲良く暮らしていたのです。

Level: N2 · 26 sentences

Transcript

  1. むかしむかし、あるところに、心優しいおじいさんと、おばあさんが住んでいました。
  2. 二人は貧しいながらも、仲良く暮らしていたのです。
  3. ある雪の降る寒い日、おじいさんは町へ出かけました。
  4. その帰り道、雪の中で、一羽の鶴が罠にかかっているのを見つけました。
  5. 鶴は必死にもがいていましたが、逃げることはできないようでした。
  6. かわいそうに思ったおじいさんは、鶴を助けてやることにしました。
  7. 自由になった鶴は空へ飛び立つと、
  8. 感謝するかのように鳴き、去っていきました。
  9. その夜、ひどい吹雪になりました。
  10. 戸を叩く音がしたので、
  11. おばあさんが開けてみると、そこには美しい娘が立っていました。
  12. 娘は道に迷ったので、一晩泊めてほしいと頼みました。
  13. 夫婦は快く娘を迎え入れました。
  14. 娘は本当の娘のように、夫婦の世話をよくしました。
  15. ある日、娘はこう言いました。
  16. 「恩返しに、布を織らせてください。」
  17. 「ただし、私が旗を織っている間は、決して部屋を覗いてはなりません。」
  18. そう約束させたものの、夫婦の好奇心は募るばかりでした。
  19. 三日二晩、機織りの音だけが聞こえました。
  20. やがて娘は、見事な布を織り上げました。
  21. 布は驚くほどの高値で売れ、夫婦は裕福になりました。
  22. しかし、おばあさんは我慢できず、とうとう部屋を覗いてしまいました。
  23. 部屋の中にいたのは娘ではなく、痩せ細った一羽の鶴でした。
  24. 鶴は自分の羽を抜いて布を織っていたのです。
  25. 「正体を知られたからには、ここにいるわけにはいきません。」
  26. 鶴はそう言うと、空へと帰っていきました。